まとめて書くことも無いんで、チャゲアスネタは1曲ずつ取り上げて水増ししていこうかとw
今回紹介する『Knock』は、個人的には“ASKAのロック”では最高傑作のひとつだと思います。
というわけで、ブログでは何度も取り上げている曲なんですが、改めて単品で取り上げてみようかと。
この曲のリリースはシングル『何故に君は帰らない』のカップリング、その他だと企画アルバム『Win&Yan』にしか入っていないので、一般的にはまず馴染みのない曲です(とはいえJALのCMソングでしたが)。
そういえば、僕は行けなかったんですが、この前のCHAGEのソロライブでこの曲をチョロっとやったみたいですね。
「CHAGE曲/ASKA詞」パターンの作品、この形、僕は勝手に“裏王道パターン”と呼んでいたりします。
このパターン、ASKAの歌詞がメチャメチャ分かりやすく変わるんですよね。
『Knock』の他にも、『BLIEVE IT』『港に潜んだ潜水艇』『I’m a Singer』などで分かるように、、自曲よりも“ブラックASKAサマ”が顔を出すコトが多いです。
私のような“陰も含めて(というか影の方こそ)ASKA”と考える者にとってはかなりオイシイ曲が揃います。
んでもってとにかくこの曲は、歌詞が素晴らしい。
技術的に言えば「Aメロに明確なストーリーを置いて、サビはキャッチ―なフレーズのリフレイン」という手法、他には『Cry』でもみられるやり方ですね。
曲数は多くないですが、ASKA自身が得意と感じている手法じゃないかと思います。
ストーリーが進むにつれて、1番~2番~大サビと「俺はどこへ行くんだろう」のフレーズの意味合いが「絶望~希望」へと変わるのがミソ、時系列も同期して「深夜~朝」と明るくなっていくのがニクいです。
また、この同じフレーズをASKAは歌い方を変えて“声の表情”で変化を付けている印象もありますね、まさにプロの技。
そしてこの曲が紡ぐ“画”が素晴らしい。
この曲を聞くと、まるで出来のいいショートフィルムを見たような爽快感があります。
特に2番アタマの歌詞は特筆もの
ピースのサインで 女と別れた
本当の名前 最後に 聞いた別れた
“ダメ男とダメ女の一晩の情事”と切り捨てるのは簡単ですけどね、こういう刹那にこそ生まれる深い感情とか人間臭さみたいなもんを一発で表現してるわけで。
この“女”、間違いなく“最高にイイ女”じゃない、と(女性からは同意を得られないかもしれないですが、笑)。
んで、ヨーロッパ映画(そんなに知らんけど)的なハードボイルドさや退廃感もあり、数多あるASKAの歌詞の中でも1,2を争う秀逸なフレーズだと思います。
「美しい」とか「泣ける」とかそういう名フレーズってのは他にも無数にあるけど、そうじゃないこういう何とも言えない人間の感情の隙間みたいなところをバスっと切り取って形に出来るところが作詞家・飛鳥涼の真骨頂だと思います。
ちなみに、一連のやらかしが発覚する前までは、「ASKAっつ~人は“フィクション・妄想”でここまで深い世界観を描けんるんだ」などと感嘆していたわけですが、ど~やらかなり“体験”に基づいているぞ、ということが分かり、彼も人間だったとちょっと安心しましたw
あとはこの時期の楽曲に多い“Cメロ・Dメロ”と進むクドい位の展開もこの曲に関してはかなり効果的という印象があります。
音楽的な見どころで言えば、この曲は編曲が“大御所of大御所”である井上鑑なんですが、ひたすらにザックリとした攻撃的なアレンジが見事。
チャゲアスレギュラー陣のアレンジャーとは明らかに質感が違うところも興味深いです。
オーケストラとシンセで“広げて~広げて~”という、いわゆるチャゲアスサウンドではなく、ギターとレトロなシンセサウンドでまとめているところが肝ですね。
塞ぎ込んでの独白的なCメロを経て「俺はここからドアを打つ~」で、一気に視界が開けるように展開する間奏でのシンセソロは絶品。
ここをあえてゴージャスなサウンドにせずに、単音のシンセで盛り上げることで、この曲の持つ“閉塞感”みたいなものを上手く表現していると思います。
色々とウンチクを述べましたが、とにかく楽曲的にも、歌詞の世界観的にも独特的な至極の名曲でございます。
しかもこの曲が、チャゲアス絶頂期の「RED HILL」リリース前後に発表されているあたりも興味深いところですね。
惜しむらくはライブで一度も披露されてないことですね、サビのキャッチ―さといいライブ映えする曲だと思うのですが。
出来た当初は本人も「ポスト・ロマンシングヤード」などと言っていたんですけどねぇ…。
まぁその位置にすぐNLが収まったこと、これを演るなら恐らく後半のハイライトなわけで「YAH YAH YAH」と被る、CHAGE曲とのバランスが難しいなどの理由があったと思われますが。
個人的には「電光石火」ツアーの殺伐とした空気感にマッチすると思うんですがどうでしょ??。
“今のASKA”に歌っていただきたい内容でもあるし、復帰ライブでは是非取り上げていただきたい曲ですね。
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コメント
コメント失礼します。「レッヒーーー」の後、イントロが勝手に脳内再生されてしまいます。結果、ついでにちゃんと再生して聴いてしまう曲ですね。とにかく転調からの胸の空くような感じがたまりません。とても好きな曲です。
コメントありがとうございます。
>「レッヒーーー」の後、イントロが勝手に脳内再生
メチャメチャ分かります。
この流れは一度ライブで再現して欲しかったですね。
ゾクゾクする曲ですよねぇ~~
初めてコメントさせていただきます。
僕は高1で、ASKAの逮捕騒動の時に聞き始めてCHAGE&ASKAにどっぷりハマった、超ど新規です^^;自分の周りにはあまりチャゲアスファンはいませんが、こんな歌詞書けて歌える人は他にいないと思ってるので、出会えてよかったなぁ〜と思ってます。
少し自己紹介みたいになってしまいましたが、僕もknock大好きです。主さんのおっしゃる通り、ショートフィルムを見てる感じになりますね。他の曲見ても、「こんな歌詞どこから出てくるんだ」と最近買い集めているCDの歌詞カード見ながら考えてます笑
余談ですが、先日ブログ上にアップされたというASKAのブログはご覧になりましたか?良ければ感想をお願いします。ブログ内でASKAは曲を相当作っているというような事を言っており、復帰に前向きな感じを見せている一方、所々に「ん?まだ少し怪しいなぁ」と感じる所があったように感じました。
これからもレビュー等楽しみにしております。
長文失礼しましたm(_ _)m
はじめてコメントさせていただきます。 僕は今高2でASKA逮捕騒動でチャゲアスを聞き始めた超新規ファンです^^; 周りにチャゲアスファンはいませんが、僕はこんなにハマったアーティストはいないくらいにチャゲアス沼にハマっていますw 主さんのおっしゃる通り、knockはショートフィルムを見ているみたいになりますね。僕が思うASKAさんの書く詞の魅力は、難しそうな詞なのに不思議と景色が浮かんでくる感じがするところだと思います。「どこからそんな歌詞が出てくんだよ!」と思いながら買い集め始めたCDの歌詞カードを見ていつも驚きっぱなしです。 これからもこちらのレビューなどを参考にチャゲアスの曲を聴きまくりたいと思います。 余談ですが、ASKAさんのブログ読まれましたか? ブログ内で、ASKAさんはアルバム数枚分の楽曲が出来ており、昔の楽曲も難なく歌えると綴っていました。復帰に前向きな感じがする一方、所々にまだ怪しい感じがするところがあったように僕は思いました。良ければ主さんの感想をお願いします。 長文失礼しましたm(__)m
コメントありがとうございます。
今高2!、SAY YESリリース時には生まれてないじゃないですか…
こういう方のお話を聞けるのは嬉しいですね。
昔は親がファンでもない限り、異世代のミュージシャンって聞く機会も少なかったんで、
YOUTUBE様々ですねw
セカオワとかゲスのんーちゃらとか、最近は若いバンドでも比喩を多用しひねった感じの歌詞がウケてる印象があるんでので、ASKAも再評価されるんじゃ?と思ってたりもします。
個人的にはクリープハイプが一番近い世界観な印象があったりしますが。
まぁ「周囲にはいない」と思いますが、ジリジリと布教していただければ、とw
例のブログは記事にしましたw
※このコメント欄は承認制なので、すぐ反映されないんですよね・・・
多分2度投稿していただいてますよね?、すいません。
こんにちは!
最近ブログ拝見するのが日課になってなかなか寝られませんw自分は75年生まれですがチャゲアス好きになったきっかけが地味にDO YA DO、初ライブは酷評wのSB3です。SB3、当時大学生でしたが3日間くらい興奮が覚めなかったです。初ライブは思い出深い、、、
と、knockですが全く同感!ホントにショートフィルムを観ているような、、、他にも明け方の君とかもですが、本当に映像がリアルに浮かびます。こんな名曲をさらっと発表してしまうあたり狙いなのかなんなのか、とにかくliveで聴きたいですね。
ちなみに先日のChageライブ参加しました。ライブの流れの中で「ここでアスカ作詞の、しかもそのフレーズ歌うかー!」と、心で泣き過ぎました。
ちなみにこのツアーのセトリはまるでアスカさんのようにがっちり強い想いで構成されていて、Cさんの決意表明を感じて泣けました。。。過去の思い出深いライブって、気付くと半分はチャゲソロです。アスカソロは、、、scrambleくらいかなぁ、、、w
SB3は初舞台としてみるならベスト選曲だし最高だと思いますし、僕も生で見たときはふつーに感動してたんですけど。
後から振り返ると印象が薄い、みたいな
Chageライブは行けなかったんですよねー涙
豊洲は歩いていけるんですけどねw2回とも行けてないという。
セットリスト見てちょっと悔しかったです・・・。
たしかにASKA派の僕から見ても、「ライブの面白さ・盛り上がり」と言う意味ではChageソロの方が圧倒的に良いライブだと思います。
ずいぶん遅くなってしまいましたが、初めてコメントさせていただきます。
自分自身、まだ曲を聴くこともできず、まして映像をみることもできない状況なのですが、自分のふらふらする精神状態もあるのか「俺は何処へ行くんだろう、どんな顔をしてるんだろう」の詞がよく頭に浮かびます。
本当に、彼は何処行っちゃうんでしょうね。
それと、このブログでは、昔の映像を普通に見ることができるのが、本当に不思議です。これからも更新を楽しみにしています。