bundan_mark
藤沢周平
初期藤沢らしい“暗い話”が詰まった短編集
- 完成度:★★☆☆☆
- 歴史度:★☆☆☆☆
- 人情度:★★☆☆☆
- 殺陣度:★☆☆☆☆
- 初心者向け:★☆☆☆☆
- マニアック:★★★★★
タイトルから想像が付きますが、暗目の話が多い短編集です。
作品の一部を紹介すると…
・闇の穴
やくざものの元亭主の頼みで、中身を知らされずに『運び屋』をやらさせる元ヨメ。
中身の重要さを知らないため深刻に考えずに頼まれたものを届ける日を1日遅らせてしまうのだがそのため元亭主は・・・
・狂気
道端で母親とはぐれた女の子を助けた大店の亭主、このことが男に久しく忘れていたある感覚を呼び覚ましてしまい・・・。
どの作品においても“ごく普通の人間”が持つ闇・狂気を取り上げた作品をリアルに描いています。
この人物描写こそ藤沢作品の真骨頂ですが、初期においては自身の屈折した感情もあり、マイナスな部分の描写が目立ちます。
この辺は『蝉しぐれ』しか知らない読者は驚くところかもしれませんね。
特に地位も金もある親父が性的目的で幼女誘拐を行う『狂気』は衝撃的。
まぁいつの世にもこういう人はいたんでしょうが、時代小説で描かれることで「負の面でも人は大して変わってない」なんてことを思います。
決して万人向けする作品ではないですが、藤沢周平の負のオーラ(これもひとつの醍醐味である)を存分に味わえる作品です。
[adsense3]
コメント