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『Knock』 ~チャゲアス・ASKA1曲レビュー~

2016/01/08

なぜに君は帰らない

まとめて書くことも無いんで、チャゲアスネタは1曲ずつ取り上げて水増ししていこうかとw

今回紹介する『Knock』は、個人的には“ASKAのロック”では最高傑作のひとつだと思います。
というわけで、ブログでは何度も取り上げている曲なんですが、改めて単品で取り上げてみようかと。

この曲のリリースはシングル『何故に君は帰らない』のカップリング、その他だと企画アルバム『Win&Yan』にしか入っていないので、一般的にはまず馴染みのない曲です(とはいえJALのCMソングでしたが)。

そういえば、僕は行けなかったんですが、この前のCHAGEのソロライブでこの曲をチョロっとやったみたいですね。

「CHAGE曲/ASKA詞」パターンの作品、この形、僕は勝手に“裏王道パターン”と呼んでいたりします。

このパターン、ASKAの歌詞がメチャメチャ分かりやすく変わるんですよね。
『Knock』の他にも、『BLIEVE IT』『港に潜んだ潜水艇』『I'm a Singer』などで分かるように、、自曲よりも“ブラックASKAサマ”が顔を出すコトが多いです。

私のような“陰も含めて(というか影の方こそ)ASKA”と考える者にとってはかなりオイシイ曲が揃います。

んでもってとにかくこの曲は、歌詞が素晴らしい。

技術的に言えば「Aメロに明確なストーリーを置いて、サビはキャッチ―なフレーズのリフレイン」という手法、他には『Cry』でもみられるやり方ですね。
曲数は多くないですが、ASKA自身が得意と感じている手法じゃないかと思います。

ストーリーが進むにつれて、1番~2番~大サビと「俺はどこへ行くんだろう」のフレーズの意味合いが「絶望~希望」へと変わるのがミソ、時系列も同期して「深夜~朝」と明るくなっていくのがニクいです。

また、この同じフレーズをASKAは歌い方を変えて“声の表情”で変化を付けている印象もありますね、まさにプロの技。

そしてこの曲が紡ぐ“画”が素晴らしい。
この曲を聞くと、まるで出来のいいショートフィルムを見たような爽快感があります。

特に2番アタマの歌詞は特筆もの


ピースのサインで 女と別れた
本当の名前 最後に 聞いた別れた

“ダメ男とダメ女の一晩の情事”と切り捨てるのは簡単ですけどね、こういう刹那にこそ生まれる深い感情とか人間臭さみたいなもんを一発で表現してるわけで。

この“女”、間違いなく“最高にイイ女”じゃない、と(女性からは同意を得られないかもしれないですが、笑)。

んで、ヨーロッパ映画(そんなに知らんけど)的なハードボイルドさや退廃感もあり、数多あるASKAの歌詞の中でも1,2を争う秀逸なフレーズだと思います。

「美しい」とか「泣ける」とかそういう名フレーズってのは他にも無数にあるけど、そうじゃないこういう何とも言えない人間の感情の隙間みたいなところをバスっと切り取って形に出来るところが作詞家・飛鳥涼の真骨頂だと思います。

ちなみに、一連のやらかしが発覚する前までは、「ASKAっつ~人は“フィクション・妄想”でここまで深い世界観を描けんるんだ」などと感嘆していたわけですが、ど~やらかなり“体験”に基づいているぞ、ということが分かり、彼も人間だったとちょっと安心しましたw

あとはこの時期の楽曲に多い“Cメロ・Dメロ”と進むクドい位の展開もこの曲に関してはかなり効果的という印象があります。

音楽的な見どころで言えば、この曲は編曲が“大御所of大御所”である井上鑑なんですが、ひたすらにザックリとした攻撃的なアレンジが見事。

チャゲアスレギュラー陣のアレンジャーとは明らかに質感が違うところも興味深いです。

オーケストラとシンセで“広げて~広げて~”という、いわゆるチャゲアスサウンドではなく、ギターとレトロなシンセサウンドでまとめているところが肝ですね。

塞ぎ込んでの独白的なCメロを経て「俺はここからドアを打つ~」で、一気に視界が開けるように展開する間奏でのシンセソロは絶品。
ここをあえてゴージャスなサウンドにせずに、単音のシンセで盛り上げることで、この曲の持つ“閉塞感”みたいなものを上手く表現していると思います。

色々とウンチクを述べましたが、とにかく楽曲的にも、歌詞の世界観的にも独特的な至極の名曲でございます。
しかもこの曲が、チャゲアス絶頂期の「RED HILL」リリース前後に発表されているあたりも興味深いところですね。

惜しむらくはライブで一度も披露されてないことですね、サビのキャッチ―さといいライブ映えする曲だと思うのですが。
出来た当初は本人も「ポスト・ロマンシングヤード」などと言っていたんですけどねぇ…。

まぁその位置にすぐNLが収まったこと、これを演るなら恐らく後半のハイライトなわけで「YAH YAH YAH」と被る、CHAGE曲とのバランスが難しいなどの理由があったと思われますが。

個人的には「電光石火」ツアーの殺伐とした空気感にマッチすると思うんですがどうでしょ??。

“今のASKA”に歌っていただきたい内容でもあるし、復帰ライブでは是非取り上げていただきたい曲ですね。

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