NEVER END [ASKA]

NEVER END ASKA C&A

NEVER END ASKAbundan_mark

発売日:1995年2月27日

“ひとりCHAGE&ASKA”をテーマに作られたASKAソロの代表作。彼の内面を感じる“個”な歌詞が魅力です。

  • 完成度:★★★★☆
  • ポップさ:★★★★☆
  • アート性:★★★☆☆
  • ツッコミ所:★★☆☆☆
  • 初心者向け:★★★☆☆
  • マニアック:★★☆☆☆

いわゆる“ブレイク期”にリリースされたASKAソロアルバム。
「ASKAソロ=バラード」というそれまでの方針を覆し、幅広い楽曲を収録。先行シングルとしてリリースされた、チャゲアスでも珍しいストレートなロックナンバー『晴天を誉めるなら夕暮れを待て』は物議をかもしました。

インタビューでは本人も“ひとりCHAGE&ASKA”などと称していましたが、サウンド的には確かに「それソロでやる意味ある?」という感じはあります。
僕の感想としては、この作品を「ソロ」としてやった意味はとにかく「歌詞」にある気がします。

「SAY YES」以降、チャゲアスの楽曲の歌詞は、それ以前の楽曲に比べてもより汎化されていると感じます。
これは圧倒的な「大衆」に届く状況において、世の中一般的に共感できるラブソングや、『BIG TREE』や『YAH YAH YAH』のように万人の心情を汲み取ったメッセージ性を持つ楽曲というのは不可欠だったのでしょう。

また、デュオという性質上、スタートの時点で”ひとり”ではなく、しかも嗜好や性格が全く違う人間が同じ歌を歌うわけで、そもそもチャゲアス自体が“個”を主張するには不向きなユニット形態といえるかもしれません。

そんな中でASKAがソロ楽曲において、「個」への表現を渇望していったというのは自然な流れだと思います。

先述の「晴天を誉めるなら夕暮れを待て」(この数十年後にとんでもない夕暮れが来るとは夢にも思ってなかったでしょうが…)、ASKAソロ最高傑作の呼び声も高い「月が近づけば少しはましだろう」、自身の多忙をコミカルに嘆いた「I’m Busy」など、チャゲアス楽曲にはみられない”自分が主人公”な楽曲が並びます。

それにしても「NEVER END」収録曲の歌詞を改めて読み直すと「ASKAちゃ~ん、かなりメンタルにキテるねぇ~」という気がしますねw


『頭は渋滞で 愛はリタイヤ 心はどこかで故障中』(I’m Busy)
『冷たそうなドアをこじ開ければ 思う場所にいけるだろうか』(NEXT DOOR)
『誤魔化しながら生きてきたなんて思わないけど 夢まみれで滑りこむようなことばかりで 毎日の自分をどこか振り分けてた』(月が近付けばすこしはましだろう)
『いつだって映画みたいな切り抜け方期待してた だけどどこか諦めてた』(HELLO)

うん、とりあえずカウンセリング受けようかw

とにかく「歌詞」という点で見れば、ASKA作品でも1、2を争うアルバムです。
色々残念なところも多い人ですが(汗)、こと歌詞に関しては、やはりこの人天才過ぎます。


『歌の中では恋が上手くなった』(I’m Busy)
『科学は正しいという迷信』(晴天を誉めるなら夕暮れを待て)
『夏にはシャツを脱ごう 冬は重ね着しよう 風邪をひくのは とても嫌いだな』(はるかな国から)

こんな感じで、そこいらの作詞家が一生かかっても生み出せないようなフレーズが、ごく当然ってレベルでゴロゴロしています。

「シンプルってところに逃げ込みたくない」てなことを良くインタビューで言っているんですが、『はるかな国から』のサビの歌詞なんてその究極系ですね。「ありの~ままの~」「れりび~」を彼が料理すると、ここまで高度な表現になるというw

ASKAの内面の深い部分まで踏み込んだ感じが魅力のこのアルバムですが、なかでもやはり『月が近付けばすこしはましだろう』の存在感は特出しています。

「再考~」の時にも書きましたがこの曲、テーマとしてはメッチャ“小さい”。

恋人でも友達でも上司で親でも先生でも、その辺から悪気もなくかけられた、言った側は3分後には忘れるようなひと言、それが妙に引っかかっていつまでもイライラ。どーにも収まらなくて“もーいい!今日は仕事行かない!とベッドにゴロん”

どこにでもある、誰でも覚えがあるような些細な情景です。ひと言でいえば“フテ寝”w

それをあそこまで壮大な楽曲に立体化してしまうミュージシャン力が凄まじすぎます。

ASKAって日常のなんてことない情景を、大げさに比喩させたら世界一ですね。
「シャワー浴びながら、その日の嫌なコトを思い出してる」ただそれだけのコトが、彼の手にかかれば『壁にもたれてもう一度受け止める 小さな滝のあたりで』と超カッコよくなってしまうというw

一見ポップなアルバムに感じますが、聴きこんで(読み込んで)いくとむしろ重厚感と深みが魅力な作品です。
セールス的にもかなり売れたアルバムなので、中古屋で見かける機会も多く、あればおそらく100円エリアなので(苦笑)、気になった方はぜひ手にして聴いてみてください。

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コメント

  1. スズメ より:

    壁にもたれてもう一度受け止める 小さな滝のあたりで~♪
    「小さな滝」ってシャワーのことだったんですね❗
    20年来の疑問が解消しました(笑)
    せっきーさんの読解力にはいつもながら脱帽です

    • masak0521 より:

      あくまで「僕の解釈」ですから・・・

      ちなみに他に「水道の蛇口をじっと見てる」って説があるんですけど、どれも暗すぎるだろ、とw
      『はじまり~』の「水のトンネル」が車のワイパーの軌道ってのは弘兼憲史が同じことを言ってたんで自信があるんですがwこれは色々考えた末、ここが一番しっくり来るかなぁ、ってだけで自信はゼロです・・・

  2. ムーミン より:

    すみません、「Never End」と関係ないのですが、「はじまりはいつも雨」の「水のトンネル」って、車のワイパーの事だったんですね!私は単純に、雨の中を歩く情景だと思ってました。それでも、何と素敵な表現だろう!と思ってました。
    このアルバム、私的には永久保存版です!なぜなら「月が~」が入ってるからです。最後のリフレイン(で合ってるでしょうか?)、あんな魂の叫びみたいな歌い方、真似しようにも絶対出来ません。生で聞いた事がないので、死ぬまでに一度(大げさ?)聞いてみたいです。
    歌詞もホント天才だと思っています。
    ASKAさんの歌詞のレベルをいつもき

    • masak0521 より:

      「月が~」は最後のシャウトのためにありますからw
      ネバエンが出たときにMステでこれを歌った時の圧倒感は忘れませんね。

      「はじまり~」の歌詞はいろんな人が同じことを言っているのでその解釈でよいかと思います。

  3. ムーミン より:

    誤って、途中で送信してしまい、申し訳ありません。
    ASKAさんの歌詞をいつも聞いていると、他の歌手の歌詞が全然響いてきません。
    いっそのこと、他の歌手のファンになれたら、今どんなに楽だろうと思いながらも、やはり彼の楽曲に出会えた事は幸せな事だなとも思っています。
    とりとめもない話、長々と失礼致しました。

  4. じゅんこ より:

    素晴らしいアルバムですよね!
    粒ぞろい…あゝ飛鳥様。

    わたしは、どうってことないさが何故かすごくだーいすきです❤️
    まさかトチ…

    はるかな国から!!!
    「味のない朝のパンを無理にミルクで流し込んでは元気なった気がするほんの一瞬の気持ち」
    「どんな手品でさえも仕掛けならあるだろうに箱も開けずに消えた」
    「愛という不透明な命の線のなかをしゃがみこむように消えた」
    秀逸すぎます。
    なんてこった…
    これ聴いた時、歌詞の質の高さに感動しました。表現したいことがバチっと私の心の中にはまり込む感覚でした。
    言葉で表現できる限界に到達してはる!みたいな。すごいです本当に。

    ただパンフレット?ブックレット?の写真がちょっとアウトな部分が(笑)
    気に入らないですね。それをOKにしたスタッフの気が知れないです。(笑)

    コンテンツがいいからって、
    ハードもしっかりしなきゃ飛鳥さんや曲たちに失礼でしょーがー!と思います。

    失礼しましたm(_ _)m

    • masak0521 より:

      「はるかな国から」はテーマもとっつきにくいですし、地味な感じですが歌詞は凄いです。
      「死」というテーマを扱っている分、より慎重に言葉を選んでいるのが伝わりますね。

      >アートワーク
      わかるーーーw

      これ結局トップのセンスなんですよ・・・苦笑
      こういう組織はモロにトップダウンかしますんで。

      CHAGEソロは衣装やアートワークもお洒落ですしね。

      ASKAにズバズバモノを言えるアートディレクターでも付いてればよかったんでしょうけどねぇ・・・

      • じゅんこ より:

        (笑)

        そう言われると私も、
        そうかなぁと…m(_ _)m(笑)
        飛鳥さんはお洒落とは遠いところにおられると思いますね。
        ダサいんですよね。
        裸の飛鳥さんはとても素敵だろうけど、飛鳥さんの魅力を活かす衣装や、曲のイメージをさらに膨らませるような印象的なCDジャケットをしっかり選んで下さるスタッフがいたらよかったのに…
        あぁ、わたしが…なりたい…m(_ _)m
        もう遅し…

        • masak0521 より:

          ONEとかkicksあたりはビジュアルもちょっといい感じになったんですけどね・・・
          あの方向性自体をやめちゃったからなぁ・・・。

          まぁ一部の人を除いては、あの世代は「衣装はスタイリストのモノ」って感じで服には無頓着なことが多いですしね・・・。

  5. chamas より:

    いつも楽しく拝見させていただいております。月が近づけば…の「小さな滝」は涙だと思ってました(笑)ただASKAさんの歌詞は本当に重く深くて、こうやって聴く人によって解釈が変わってしまっても各々の解釈で昇華されることが魅力なんだと思います。私はメロディーから取っつく派ですが、唄にこもった想いは歌詞を深読みさせてくれて20年たっても飽きません。ただ、私はASKAさん信者を自負しておりますがここ7年位は明らかに限度を超えているのが観てとれました。今となっては淋しい限りです